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『English as She Is Spoke』とは19世紀に書かれたポルトガル語による英会話表現集の書名であり、英語圏ではこのタイトルで繰り返し出版されたため一般に知られるようになった。著者はペドロ・カロリノとホセ・ダ・フォンセッカの二人とされているが、ポルトガル語の会話表現を英訳した箇所がまったくの支離滅裂であるため、「かつてないほど酷い外国語会話集」とも称され、の古典的な例として有名になった。例えばポルトガル語の熟語に「chover a cântaros」という言葉があり、これを英熟語で訳すならば「raining buckets」(バケツをひっくり返したような雨)となるところが、本書では「raining in jars」(瓶に降っているような雨)となっている。 ==出版== フォンセッカたちの本は1855年に「新葡英会話表現集全二部」(''O Novo Guia da Conversação, em Português e Inglês, em Duas Partes'')という書名でパリの出版社から初めて世に出された。しばらくしてこの本の奇妙な内容が話題を集め、1883年にイギリスとアメリカで「English as She Is Spoke」というタイトルがつけられた英語版がそれぞれに出版された。アメリカ版は小説家のマーク・トウェインが序文を書いたことでも知られている。その後この本は両国で繰り返し再版されており、少なくとも14種類の版が存在する。 著者として名前が挙がる二人のうちホセ・ダ・フォンセッカ(1788年 - 1866年)は翻訳や辞典の編纂に携わっている世評の高い言語学者である。ペドロ・カロリノの正体についてははっきりとはわかっていないが、何冊かの翻訳を残しているペドロ・カロリノ・ドゥアルテ ではないかとされている。フォンセッカは問題の会話集が出る前の1836年に「新仏葡会話表現集」("O Novo guia da conversação em francês e portuguê")を出版しており、1853年にその増補版を出していた。この本はポルトガルとブラジルの学習者にとってたいへん役立つものだったといわれており、その英語版が出ることも自然の成り行きだったといえる〔。 この2冊の語学書は同じ構成をとっており、ポルトガル語の原文も同じものを使っていて、ただフランス語の部分が英語に置き換えられ、発音を再現する文字が並べられている点が異なっていた〔。そしてポルトガル語と1箇所だけ残っているフランス語は完璧な文章のままで、英語に関する部分だけが破綻していた〔。すでに1883年のイギリス版につけられた序文において、著者は英語を知らぬまま仏英辞書を片手に一語一語を直訳していったという推測が述べられている。2002年には当時UCLAの言語学部に在籍していたアレクサンダー・マクブライドが、この本は共著というよりもペドロ・カロリノが勝手にポルトガル語-フランス語の会話集から翻訳したもので、フォンセッカは関与していない可能性を指摘している〔〕。 二人の名前で出版された語学書はフォンセッカの存命中すでに「語学力よりもユーモアを提供してくれる」書物と考えられており、彼が亡くなるまで再版されることはなかった。しかしその死後まもなく、カロリノが今度は自分一人の名前で新たな版を出しており、しかも北京で出版されたことがわかっている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「English As She Is Spoke」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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